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また新しい里親等家庭養育運営要編では、障害児里子の委託の積極的推進の姿勢が示されたことも注目すべきであろう。
(4)特別養子制度の新設
養子制度に関し、法律上実親との親子関係を断絶して養親を唯一の親とする特別養子制度を創設する民法改正が行われ、昭和63年1月1日から施行された。特別養子制度は、児童の福祉に焦点を合わせ、児童の利益を最優先する養子制度を目ざしているものであり、里親制度にとっても、相当大きな影響を及ぼすものと考えられる。
(5)里親制度の展望
約10数年前より識者の間でノーマライゼーションの重要性が主張されており、この観点から里親制度の重要性が唱えられている。諸外国ではこの考えに沿って「施設から里親へ」脱施設化への施策が急速に進んでいる。(参考資料10参照)一方、我が国においては、今だに施設養護が主流となっている現状であるが、家庭養護の重要性も認識し、両者バランスのとれた方向に改善することが望まれる。特に、平成6年には「児童の権利に関する条約」(参考資料11)が批准発効したので、家庭環境に恵まれない児童の保護については、同条約第20条の主旨(「里親委託」優先)に基づき、児童の最善の利益を考慮して里親制度を積極的に活用するよう、各関係者は連携して一層の努力をすべきであろう。
なお、里親委託の期間の延長(20才まで)については、平成6年2月に「中児審、家庭児童健全育成対策部会」の意見具申(参考資料13)もなされているので、近い将来に法律改正される期待が高まっている。
また、里親制度をとりまく問題としては、少子・高齢社会の到来による家庭の養育機能の低下に対応して、子どもを生み育てていく心豊かな社会環境づくりの諸施策の展開が求められており、平成6年12月に策定されたいわゆる「エンゼルプラン」(参考資料12)に基づき、社会全体で

 

 

 

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